夜明けの街で(著:東野圭吾)を読んで
今回は、東野圭吾の「夜明けの街で」の感想を投稿する。
ネタバレの可能性があるのでご了承願いたい。
おすすめ度:★★★★☆
本作品は、主人公「渡部」が不倫にどっぷりと浸かっていく様子が描かれている。
その様子がかなりリアルで恐くなるほどである。
渡部は元々「不倫するやつは馬鹿」だと考えていたのだが、いつの間にかどっぷりと浸かっていくのである。むしろそれぐらいの人の方が抜け出せなくなるのかもしれないと思ってしまった。
もちろん本人も悪いことだとの認識はあったのだが、段々と不倫に対するボーダーラインが低くなっていく。一度だけなら大丈夫。離婚する気はないから大丈夫などと自分自身に言い聞かせながら。
やはり人間は弱い生き物だから自分を正当化し、このように落ちていくのかなと感じざるを得なかった。
渡部自身も奥さんに不満があったわけではない。それでもこのように落ちていくのだ。
自分も彼女に対して不満はない。だが、このように落ちていってしまうことがあり得るのかと恐くなる。しかし、自分は絶対にしない。これは、このブログに誓っておこうと思う。
多少話がぶれてしまったが、また小説に話を戻す。
小説の中で特に印象に残っていることは、「境界線上には壁はなく、壁は自分が作り出しただけのものだった」との表現があった。
今回の場合は、悪いことに関して表現されていることであったが、プラスになることにも言えることだと思う。基本的に自分は、思い立っても自分で勝手に壁を作り諦めてしまう節があった。未知のことに関しては過大評価をしてしまうことが多いかとは思うが、いざその場面がくると大したことないというのは多々あるのではないだろうか。色々なことを考えさせる表現であったと感じた。
全体的に推理小説という内容よりは、不倫に関する話ばかりが印象に残っているが、殺人事件の結末は大どんでん返しであった。全く予想していない結末でさすが東野圭吾の作品だと感じた。
また、事件以外のことでも渡部と奥さんの関係も大どんでん返しが残っており、たくさんのことを考えさせる小説だったと思う。
まだ結婚していない自分にとって不倫は関係ない話なのかもしれない。しかし、将来のことを考えるとたくさんのことを考えるきっかけとなる非常に良い話だった。