ときありも blog

~無気力な三十路公務員の雑記ブログ~

火花(著:又吉直樹)を読んで

 

おすすめ度:★★★★☆

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 数年前に芸人の又吉直樹氏が小説を書いたということで話題になった「火花」を今更ながら読んだので、感想を投稿する。知らない人はほとんどいないと思うが、芥川賞受賞作であり、映画にもなった小説である。同年に芥川賞を受賞した「スクラップ・アンド・ビルド」についても投稿しているため、下記リンクを参照してくれるとありがたい。

tokiarimo-blog.hatenablog.com

 

【小説の特徴】

 元々、読書をしてこなかった自分にとっては、芥川賞と聞くだけで難しい内容なのかなと思ってしまう節があるが、実際に読んでみた感想としてもイメージ通りの難しさを感じた。読書に慣れている方にしてみればそんなこともないかもしれないが。主人公は、売れない芸人をしており、花火大会の舞台から始まる。その花火大会で先輩「神谷」と出会う。この小説は、主人公が先輩との触れ合いの中、先輩の伝記を書くというテーマのもと進んでいく。そのため、主人公といいながら、主人公の私生活についてはあまり触れられず、先輩の恋人や私生活の内容がほとんどを占める。

 

 

 

感想
  • 1.随所に散りばめられたボケ
  • 2.芸人が芸人の物語を書いているためリアリティーがある
  • 3.破天荒な先輩から感じるヒヤヒヤ感
  • 4.主人公の最後の漫才シーンに感動

1.随所に散りばめられたボケ

 さすが、芸人が書いた小説だなと感じさせられた。小説の中に随所となくユーモアが散りばめられている。そこが、この小説を飽きさせない要因の一つのように感じた。

 

2.芸人が芸人の物語を書いているためリアリティーがある

 芸人が芸人について書いているため、苦悩・挑戦・挫折など様々な感情にリアリティーがあり、物語に入り込みやすく感じた。

 

3.破天荒な先輩から感じるヒヤヒヤ感

 先輩「神谷」は、自分の信念を突き進む性格ではあるが、それが非常に破天荒。そんな破天荒さ故に、周囲から認められずにいる。ただし、神谷自身は全く悪気なく、ただ単純に不器用なだけだと感じる。自分の周りにいたとしたら、認めることはできないとは思うし、親しくなるとも思わないが、小説を読む限りは悪い人とは思わない。きっと、自分の周りにも神谷のように悪気なくそのようにしている人もいるのかもしれない。その人の本質を見極めることなく、軽い判断で拒絶したりしていないだろうか。と感じるきっかけになった。

 

4.主人公の最後の漫才シーンに感動

 コンビ「スパークス」の最後の漫才シーンは普通に感動した。相方が芸人を引退するということで、主人公自身も最後の漫才に挑む。そのシーンをリアルに想像してみると、実際にその場に居合わせることができたなら、涙なしでみることはできないだろうと思いながら読むことができた。

 

 

まとめ
  • 読書初心者には少し難しい内容
  • 映画についても観てみたいと思える内容であった
  • もう一度読み直したいと思える小説であった

 

 1度読むだけでは、著者が伝えたかった内容の全てを理解することができなかった。自分としては、先輩「神谷」を通していくつかのことを学べたのかなとは思っているが、2度目、3度目を読むことによって見えてくるものが多い小説のように感じた。また時機を見て読み直したいと強く思う小説であった。

 また、小説が映画化されているので、映画についても観てまた違う感覚で物語を観たいと思った。難しい内容の小説ではあったが、芥川賞受賞やあれだけ話題になった小説ということが納得できる良い作品だったと思う。